日米関係 2009 12 27
書名 米中軍事同盟が始まる
アメリカはいつまで日本を守るか
著者 日高 義樹 PHP
沖縄の米軍基地のグアム移転問題で、
よくマスコミが伝えることは、こういうことでしょうか。
沖縄県民の負担軽減のために、米軍基地をグアムに移転させる。
実は、この問題に関しては、
マスコミが伝えていないことがあります。
それは、軍事的な理由を、マスコミは伝えてないと思います。
日本国内の米軍基地が安全でなくなったので、
比較的安全なグアムまで後退させるということです。
冷戦時代において、対ソ連、対中国を考える時、
日本列島に米軍基地を置くことは、軍事的に安全で問題がなかったのです。
昔の戦争は、ノルマンディー上陸作戦のように、
敵国の海岸に軍艦が集結して上陸作戦を敢行するというスタイルだったと思います。
しかし、今の戦争は、高性能なミサイルが中心となるでしょう。
正確で高性能なミサイルの時代となったのに、
米軍基地設置の発想は、
ノルマンディー上陸作戦時代のままとなっているのです。
つまり、日本列島にある米軍基地は、ミサイル攻撃に対して、
無防備というと言いすぎですが、脆弱と言えるでしょう。
そういうわけで、純粋に軍事的に考えれば、
ミサイル時代の現代においては、
米軍の前方展開を、グアム、ハワイ、アラスカまで後退させるのは、
合理的な判断と言えるでしょう。
日本の政治家は、「そんなばかな」と思うでしょう。
しかし、政治家の頭は、いまだにノルマンディー上陸作戦時代のままです。
だから、そういう反応をするのです。
もちろん、今は、戦略爆撃機による空中発射型のミサイルがありますので、
グアムまで後退しても、安全とは言えないでしょう。
ともかく、ノルマンディー上陸作戦時代から、
今は、ミサイル時代になったと認識を切り替えるべきでしょう。
そこから、日米関係をどう構築していくか考えるべきです。
そして、日本の国防政策は、どうあるべきか考えましょう。
(参考文献)
「米軍が見た自衛隊の実力」(北村淳 宝島社)
この本は、日本の国防は、どうすべきかについても書いてありますので、
軍事に興味がない政治家や国民も、読んでおくべきでしょう。
同盟とは 2009 11
14
オバマ大統領の来日に伴い、
ニュースでは、「日米同盟」という言葉が目立ちました。
そこで、「そもそも同盟とは何か」ということを考えてみましょう。
同盟というと、まず軍事同盟を連想します。
そうすると、日米安全保障条約は、軍事同盟でしょうか。
もし、これが軍事同盟ならば、
日本の上空を通過し、アメリカへ向かうミサイルをすべて、
日本は打ち落とす必要があります。
しかし、これについては、
日本政府は、否定的な見解を持っているでしょう。
なぜか。
それは、日米安全保障条約は、軍事同盟というよりは、
保護条約のようなものだからです。
第二次世界大戦後、アメリカは、軍事的脅威から日本を保護する。
日本は軽武装で、商売に専念する、あるいは経済発展に専念する。
そういう趣旨だったから、冷戦が終了してしまうと、
「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守らない」という奇妙な関係が、
浮き彫りになってしまったのです。
本来ならば、冷戦終了後、
いや、戦後復興が終わり、日本が経済大国になった時に、
「同盟のあり方」や「日米関係」を再定義すべきだったのです。
もちろん、こうした思考は、冷戦時代の思考かもしれません。
21世紀においては、たとえば、「日米経済同盟」や「日米政治同盟」、
あるいは「日米環境同盟」など、新しい思考が必要かもしれません。